Webエンジニアの将来性は?どこでも評価されるフロントエンドエンジニアとは?
ネットメディアやSNSなどで「Webエンジニアは増えすぎでは?」という声が挙がっているようです。フロントエンドエンジニアをめざしている人や、キャリアプランを考えている現職のエンジニアのなかには、将来性があるのか気になる人もいるでしょう。
しかし実際にはWebエンジニアの需要は高まっており、この先数年は急激に仕事がなくなることは考えられません。とはいえ誰でも好待遇・高年収の仕事に就けるわけではなく、待遇アップにはクリアすべき条件があるのも事実です。
今回は、Webエンジニアが増えすぎといわれる要因と将来性、どこでも評価されるフロントエンドエンジニアになるために身につけるべきスキルを紹介します。
Webエンジニアが「増えすぎ」といわれる3つの要因
Webエンジニアが「増えすぎ」といわれるようになった要因は以下の3つです。
- スクールの増加による学習ハードルの低下
- 国を挙げたデジタル人材の育成・確保政策
- Webエンジニアの仕事が減る危惧
それぞれについて解説します。
スクールの増加による学習ハードルの低下
近年はプログラミングスクールが増加し、フロントエンド技術を中心として、初心者でもWebの技術を学ぶハードルが下がりました。プログラミング教育市場は、2018年から2024年まで6年連続で成長を続けています。
初心者から数ヵ月で仕事の案件獲得を保証するスクールも多く、異業種から転職するために学習を始める受講者も少なくありません。
Web系の職種はリモートワークや復職がしやすいこともあり、ライフイベントに左右されず働きたい女性にも人気です。コロナ禍で働き方を見直した人も多く、年代・性別を問わずプログラミングを学びたい人が増えているのです。
国を挙げたデジタル人材の育成・確保政策
国を挙げて「デジタル人材の育成・確保」に取り組んでいることも、Webエンジニアが増えた要因のひとつです。
国がデジタル人材を増やしたい背景には、以下の2つの目的があるといわれます。
- 新技術やインフラ成長によるIT業界の人材不足解消
- 「誰ひとり取り残さないデジタル社会」の実現
国の施策のひとつとして、厚生労働省の「教育訓練給付制度」の給付対象にIT・Web・データ領域が追加されたことが挙げられます。
教育訓練給付制度は、雇用の安定と就職の促進を目的として設けられた制度で、認定された講座を受講すると、修了時に受講費用の一部が支給されるというものです。
情報関連領域の人体講座に、プログラミングスクールの講座も加わったため、受講者は少ない自己負担でプログラミング教育を受け、スキルを習得できるようになりました。
Webエンジニアの仕事が減る危惧
SNSやインターネット検索で「Webエンジニアに将来性はない」との声が挙がっているのはご存じでしょう。
最近のAIやノーコードツールの進化により、一部のコーディング作業が不要になったため、このような不安を持つWebエンジニアが増えているようです。仕事がAIに取って替わられる一方で、Webエンジニアの新規参入者は増えているので、需給バランスが崩れて競争率が高くなると懸念されます。
確かにAIに代替される単純な作業もありますが、Webエンジニアの仕事にはAIが対応できない仕事が多数あります。次の章から、Webエンジニアの将来性について解説します。
Webエンジニアの将来性を示す4つの要素
Webエンジニアの仕事に将来性があるといえる理由は、以下の4つです。
- IT市場は拡大している
- Web業界の人手不足は続く
- 成長領域での開発ニーズが高い
- スキルによって将来性は分かれる
以下で、それぞれについて詳しく掘り下げます。
IT市場は拡大している
IT市場全体が拡大し続けているため、Webエンジニアに将来性があることは明らかです。
矢野経済研究所のレポートによると、2022年度の情報サービス業(受注ソフトウェア)の総売上高は9兆6,768億円で、前年度比7.1%増の伸びを示しています。インターネット付随サービス業も2兆2,385億円(前年度比1.3%増)で、こちらも大幅な伸び幅です。
2022年度の国内民間企業のIT市場規模についても、IT投資額ベースで前年度比4.5%増の14兆1,600億円と拡大を続けています。
今後は主にインフラの高度化やデータ流通の促進、Web3.0(ブロックチェーンを基盤とした分散型インターネット)に向けた課題解消に必要な人材の確保が進むと考えられます。
参照:矢野経済研究所「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2023年)」
Web業界の人手不足は続く
Web業界の人手不足が続いている点からも、Webエンジニアに将来性があると判断できます。
Web業界の参入障壁が下がっているにもかかわらず人手不足が続く背景には、日本の人口減少と少子高齢化があります。労働生産人口の減少が新規参入エンジニアの増加率を上回っているのです。
経済産業省「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材の不足数は2030年には最大約79万人まで広がるとの試算も出ています。
参照:経済産業省「IT人材需給に関する調査」
直近では「2025年の崖」問題を乗り越えるために、社会全体でより多くのIT・Web人材が必要とされるでしょう。
成長領域での開発ニーズが高い
IT・Web業界の中でもAIやスマホアプリ、NFTのような成長領域では、より高い開発ニーズが発生しています。
現役フロントエンドエンジニアにとっては「AIに仕事を取られる」側面がありますが、逆にAIを活用し、新しい技術を創る側に回ることも可能です。NFT領域のシステムも急成長している技術で、開発合戦が激化して案件が増えると考えられます。
スキルによって将来性は分かれる
とはいえWebエンジニアは、スキルによって差別化あるいは淘汰されることも予想されます。
前述のように、Webエンジニアにはスクールを卒業したての人からベテランまで幅広い人材がいます。当然、保有スキルも経験値も大きく差があります。
ITやWeb業界は進化が速いため、新しい技術を吸収できる人ほど他者と差別化でき、そうでない人は関われる仕事が減っていくでしょう。
フロントエンドエンジニアが差別化するために身につけるべき4つのスキル
フロントエンドエンジニアが他者と差別化するために、今後身につけるべきスキルは以下の4つです。
- 成長領域のスキルを習得する
- 需要の高い言語を習得する
- 技術の専門性を高める
- マネジメントスキルを身につける
以下で、ひとつずつ見ていきましょう。
成長領域のスキルを習得する
現役エンジニアが他者と差別化するためには、成長領域のスキルを身につけるのがおすすめです。
2024年現在急成長しているのは、以下の3領域です。
技術領域 |
具体的な技術 |
AI |
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ブロックチェーン |
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クラウド |
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ブロックチェーンは暗号技術を駆使し、改ざん・ハッキングされない取引履歴の記録技術として期待されています。また多くの企業で物理サーバーからオンラインストレージへの移行を進めているため、クラウド環境で開発できるスキルも注目です。
さすがにすべてを一度に習得するのは難しいので、現在の仕事に近い領域から身につけることをおすすめします。
需要の高い言語を習得する
他者との差別化には、需要の高い言語の習得も有効です。TIOBEの検索エンジンデータ(2024年及び2023年)による海外プログラミング言語ランキングは以下のとおりです。
- Python
- C
- C++
- Java
- C#
前年10位から7位へ順位を上げたGoも近年注目されています。一方で日本の転職市場の案件数では、PHPが3位に、Rubyが5位にランクインしています。
ランキングからそれぞれの言語について、どんな領域で、なぜ多く採用されているのかを考察し、技術のトレンドをキャッチすることも大切です。
技術の専門性を高める
他のエンジニアと差別化するには、特定技術の専門性を高める方法もあります。
エンジニアのスペシャリストは特定分野の専門性で常に高い需要があり、年収を上げられる可能性があります。40代、50代まで活躍し続けるスペシャリストも少なくないため、長く働くうえで専門性が武器になると期待できます。
ただしプロジェクトごとに必要な技術が異なる場合があるため、携わるプロジェクトを慎重に選ぶ必要があります。また、専門といっても技術進化へのキャッチアップは必要で、周辺領域の理解も併せて深めておくことが大切です。
マネジメントスキルを身につける
マネジメントスキルも、他のエンジニアとの差別化を図れるニーズが高いスキルです。
クライアントからのテクニカルな要望にすぐ対応できるマネージャーやディレクターは、プロジェクトを円滑・スピーディーに推進できるため重宝されます。マネジメントができるWebエンジニアは多くないため、会社から必要とされる人材となる可能性が高まります。
WebディレクターやPMをめざすのであれば、以下のスキルを意識して習得しましょう。
- コミュニケーションスキル
- スケジュール管理
- 進行管理
- 予算管理
- リソース管理
- 提案・折衝・調整
身近にいるディレクターやPMが、メンバーや他部署にどのように対応しているかを見て学ぶことをおすすめします。
マネジメントスキルはどんなプロジェクトやチームにも必要とされ、かつAIには真似のできないヒューマンスキルが多く含まれます。クライアントや他部署との折衝・調整などがその例です。
業務の生産性や効率化が優先されるプロジェクトにおいて、想定外のトラブル時に適切に軌道修正できるのは、ヒューマンスキルと経験値が高いマネージャーだけといえるでしょう。
フロントエンドエンジニアは+αのスキルで市場価値を高められる
フロントエンドエンジニアの仕事には将来性があり、スキル次第で活躍の場を広げることが可能です。ただし将来的には「ベーシックなスキルしかないWebエンジニアは増えすぎ」となる可能性もあり、差別化できるスキルのないエンジニアは淘汰されてしまうかもしれません。
これからのフロントエンドエンジニアに求められるのは、高い専門性、需要の高い言語、成長領域の開発スキルなどのテクニカルスキルと、マネジメントスキルなどのヒューマンスキルです。成長できる環境でテクニカル・ヒューマン両スキルを磨き、どこでも高く評価されるフロントエンドエンジニアをめざしましょう。
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